【大相撲】横綱・大の里“肩鎖関節脱臼”で休場…非難されても未来を見据え英断と言われる訳

大相撲九州場所で優勝争いを繰り広げていた横綱・大の里(26=二所ノ関部屋)が「左肩鎖関節脱臼」でまさかの休場で波乱の展開となりウクライナ出身の安青錦が優勝する結果となった。

大の里は「1ヶ月間の安静が必要」と診断をうけ、今後の冬の巡業も休場見込みで初土俵以来初めての休場に心配の声が相次いでいる。

「肩鎖関節脱臼」とはどういったケガなのか?医学的目線から専門的に詳しくお話していきます。

意外と多い!大相撲で肩鎖関節脱臼

大相撲は日本の国技として長い歴史を持つ一方で力士たちは激しいぶつかり合いの中で常にケガとの隣り合わせにもあります。その中でも実は意外と多いケガの一つが肩鎖関節脱臼です。

肩鎖関節脱臼とは鎖骨の外側と肩甲骨の「肩峰」とをつなぐ関節が外れてしまうケガのことです。

胸や肩から落ちるように倒れる、腕を伸ばした状態で倒れたりなどで起こると言われています。

今回の大の里の件では13日目の安青錦との取組で土俵際で嫌な感じで倒れた際に痛めたのではないかと予想されます。

 

肩鎖関節脱臼とはどんなケガ?

肩鎖関節は鎖骨と肩甲骨との間にある関節です。

肩鎖関節の構造

引用:https://www.jsfr.jp

この肩鎖関節では、肩鎖靱帯と烏口鎖骨靱帯(菱形靱帯と円錐靱帯)との靱帯で関節が安定性が保たれています。

これらの靱帯に外力がかかり、肩鎖関節を痛めることとなります。

肩鎖関節損傷の分類

引用:https://www.jsfr.jp

 

TypeⅠ(捻挫) 肩鎖靱帯が断裂はしていないが部分的に損傷していて、烏口鎖骨靱帯は正常である
TypeⅡ(亜脱臼) 肩鎖靱帯の断裂。烏口鎖骨靱帯は断裂していないが部分的に損傷している
TypeⅢ(上方脱臼) 肩鎖靱帯と烏口鎖骨靱帯ともに断裂している。鎖骨が少し上方に転位している
TypeⅣ(後方脱臼) 肩鎖靱帯と烏口鎖骨靱帯ともに断裂している。鎖骨が後方に転移している
TypeⅤ(高度脱臼) TypeⅢの転位が強いもの。鎖骨が肩甲骨(肩峰)と触れていないくらい転位している
TypeⅥ(下方脱臼) 肩鎖靱帯と烏口鎖骨靱帯ともに断裂している。鎖骨が下方に転位している

症状としては肩鎖関節部が腫れて痛みが生じる。また、押した時や運動することで痛みが増強する。

TypeⅢ・TypeⅤでは鎖骨が上方転位しているため、見た目上で鎖骨外側が浮き上がってしまう状態になる。そして浮き上がっている部分を上から押すとピアノの鍵盤のように上下する。(ピアノキー現象)

肩鎖関節脱臼の予後と引退のリスク

TypeⅠ・Ⅱは三角巾などで固定して2〜3週間の安静の保存療法になります。

TypeⅢも脱臼の転位が軽いため、同様の保存療法を行っていきます。

ただし、アスリートなどでは手術を勧められています。その理由として、肩を酷使していると痛みが再発する可能性が強いためパフォーマンスに影響が出てしまうからです。

TypeⅣ・Ⅴ・Ⅵは手術療法の適応になります。

復帰までの期間は、保存療法のケガの程度の軽いものでは約8ヶ月(約4場所)、手術療法では約1年(5〜7場所)と決して短くはない期間になります。

そして、中には復帰後思うようなパフォーマンスを発揮できず、引退に追い込まれた力士もいます。

代表的な力士が元大関・琴欧州(現鳴門親方)です。

2013年九州場所で肩鎖関節脱臼と診断され全治1ヶ月を要する見込みでした。

2014年2場所休場によって大関陥落し、再起をかけて復帰したものの思うようなパフォーマンスができず、引退を余儀なくされた。

まとめ

2場所連続優勝目前に無念の千秋楽で休場を発表したことで賛否両論な意見がある。今回無理して出場して優勝したとしても、来場所以降パフォーマンスが落ちてしまうリスクがあるのであれば、これは“未来を見据えた英断”である。

大の里の師匠である二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)も横綱昇進直後にケガをして、ケガを抱えながら2場所連続優勝を成し遂げた。しかし、その後肩の症状が復調せず、無理をして出場した代償にそのまま引退まで追いやられた経験があるからこその決断である。

気になる大の里の容態は、「肩鎖関節脱臼」「1ヶ月間の安静加療」という診断で安易に1ヶ月で復帰できると考えるのは安直な考えなのかもしれない。

まだ26歳と若い大の里には日本人横綱として長く相撲界を背負い盛り上げてもらいたいので、どうか無理だけはしないでほしい。

相撲界は長く休場すると非難されることがあるが負けずにしっかり完治させて強い横綱として土俵に戻ってきてほしい。

今後の大の里の経過に注目したいと思います。

 

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